
―――青い空、白い雲、そしてテンガロンハットの男達……。
照りつける太陽、無限の荒野、そしてテンガロンハットの男達…。
吹き抜ける乾いた風、舞い上がる砂ぼこり、そしてテンガロンハットの…。
レヴィアタン:「もういいわよ!! あんた、どんだけテンガロン押しなのよ。さっさと先に進めなさいよ!!」
―――おおっと、これは大変失礼いたしました。久方ぶりの実況中継ということで、私、少々ハッスルし過ぎてしまったようです。
というわけで、改めまして皆様こんにちは。今年もまた待ちに待ったこの季節がやってまいりました。
第287回、マモン杯争奪ロデオマシン選手権大会の開幕です!
―――パン!パンパンパンパパパパパンパンパンパパパパパパパ……続く……。
(段取りミスにより予定の3倍の爆竹に点火、その結果3分以上もの間爆竹だけが鳴り響く結果に……)
―――いや~、例年にない活気にあふれた演出となっております(冷や汗)
さて今回は287回目という快挙を記念して、素敵なゲスト解説者にお越しいただきました。
「あんたのモノはレヴィのモノ、レヴィのモノったらレヴィのモノ。あんたのことは嫌いだけど、あ、あんたがデートに行くのはなんだか許せないの!!」でお馴染みのこのお方。麗しき嫉妬の魔王レヴィアタン様です!!
レヴィアタン:「え? レヴィ? 何それ、聞いてないんだけど」
―――レヴィアタン様、本日はお忙しい中、誠にありがとうございます。
さて早速ですが、ロデオ通と名高いレヴィアタン様は今回の優勝はズバリ誰の手に輝くと予想されていますか?
レヴィアタン:「そうですね~。レヴィ的にはあの黄色い帽子の……って、わかるわけないでしょ!? 何よ、その堂々とした嘘情報。レヴィ、出場者とか知らないし、ここに来るのも初めてだし、ていうか、マモンたんの言ってたセクシーなウェスタンコスプレのルシファーお姉さまはどこにいらっしゃるのよ!?」
―――おおっとそうでした!! それではここで、今大会の主催者でもあらせられます我らが女王様にご登場願いましょう!!
レヴィアタン:「お姉さま!? どこどこ!?」
―――皆様、南南東をご覧ください。マーチングバンドの演奏に合わせ、入場門より颯爽と会場入りしてまいりましたポニーに乗り、大会ではすっかりトレードマークとなりましたエンジのミャフリャー(マフラー)をなびかせていらっしゃいます。
純白のウェスタンスタイルに身を包んだたわわかダイナマイトバディが、いや~、眩しすぎる!! あ~、あの豊満な肢体に組み敷かれたい!! 流石は美しすぎるマダム。強欲の魔王、我らが女王マモン様です!!
レヴィアタン:「ちょっと!! お姉さまじゃないじゃない」
―――ハイ! 我らが魔王マダム同盟の女王様です!!
レヴィアタン:「魔王マダム同盟って……。じゃあ、ルシファーお姉さまは!?」
―――ハイ! 先月敢行した『マモン様との絡みを見てみたい魔王様アンケート』で堂々の1位を獲得されたレヴィアタン様をゲスト解説者にお招きするためのちょっとした作り話です!!
レヴィアタン:「堂々と作り話とか言うな!!」
マモン:「あらレヴィアタンさんじゃない? こんなところで会うなんて奇遇ね。あなたもロデオマシンをお求めですの?」
レヴィアタン:「いらないし……。今日のレヴィは、わけわからないうちに騙されて連れてこられた哀れな解説者よ」
マモン:「そうなの……。でもレヴィアタンさんがいらしてると知ったら、うちの子達も喜ぶと思うわ」
レヴィアタン:「え? 子供連れなの? 何匹?」
マモン:「今日は幼い子達だけだから……ざっと30万匹ってとこかしら? ウフフ」
―――おお~、皆様ご覧ください。我らが夢見たマモン様とレヴィアタン様の絡みでございます!!
レヴィアタン:「変な言い方しないで!! ……やばい。子供達に見つかる前に、こんなとこ早く逃げなきゃ。また全力で魔王ごっこに付き合わされることになる」
―――おおっとここで、マモン様による恒例の精水シャワーサービスだ~!!
ほんの一滴口にするだけで、向こう1年間は元気ハツラツハッスルタイムが持続すると噂の精水を惜しげもなく集まったテンガロンハットの信者たちへと浴びせかけておられます。まさに女神の祝福です。
レヴィアタン:「水着のオバさ……ゴホン。水着のお姉さんが、水鉄砲で戯れてるだけにしか見えないけど……」
―――何をおっしゃいます!! あの堅実な節約家であらせられるマモン様が、この日の為に特別精製してくださった精水を、毎年無料で提供してくださるんですよ。
レヴィアタン:「ちなみに会費はどのくらいなの?」
―――参加者一人に付き、一律300万円ポッキリとなっております。
レヴィアタン:「……。ホント…熱心な信者って、大事にしなきゃね……」
―――おおっと!! 早くも精水の効果が表れ始めた面々が次々に変化を開始しました!!
レヴィアタン:「ちょっと、何よこれ。なんかみんな気持ち悪い感じに……」
―――キタキタキタキタ!! 私もそろそろ、変わっちゃいますよ~。チェスト―!!
レヴィアタン:「イヤー!!」
マモン:「彼らには、毎年、運動不足になりがちな子供達の為にロデオマシンになってもらっていますの。今まではケンタウロス的な感じに仕上げてたんですけど、今年は流行りの昆虫風にアレンジしてみましたの。如何かしら? ほらほら見て、子供達もあんなに大喜びで……」
レヴィアタン:「昆虫って、アレ、どう見てもカブトムシじゃなくてゴ……。あ、レヴィ……もうダメ(ドサッ)」
マモン:「え? レヴィアタンさん?? まぁどうしましょう。気を失ってしまわれましたわ……。若い子には少々、刺激が強かったかしら? うふふ」
