色鮮やかな小鳥のさえずりが爽やかに駆け抜ける麗らかな午後のひと時。
サラサラと風になびく度、なんとも言えぬ甘い香りを放つ桃色の髪。紅葉した頬がなんとも悩ましげな憂いの表情。零れ落ちそうなほどたわわに実ったバスト。しなやかにスラリと伸びた美脚の魔王様。
本日も小洒落たオープンテラスでカフェ・シェケラートなど召し上がりながら、行き交う通行人達の目を釘付けにしていらっしゃるご様子。
アスモデウス:「退屈だわ。なにか面白いことってないかしら? ねぇ……?」
そんなことを仰っては、目があった店員や通行人に軽くウィンク。たちまち彼らは魔王様のフェロモンに当てられて……、興奮気味に頬を高揚させると同時に熱狂的な信者と下る。
アスモデウス:「そんなに簡単に降参しちゃうの? つまらないわね」
退屈しのぎにとりあえず地上の精力を全て吸い付くそうとなさる魔王アスモデウス様。なんてこった、地球の貞操の危機!
マモン:「は~い。ご注文のお薬お届けにきました~」
絶妙なタイミングで現れたのは、アスモデウス様と負けず劣らずの豊満なバディと明晰な頭脳をお持ちの魔王マモン様。
アスモデウス:「お薬? 私そんなの頼んだかしら?」
マモン:「以前、蒸し暑くて退屈な夏を思いっきり楽しめるものがほしいとおっしゃっていらしたでしょう?」
アスモデウス:「そう? そんな事言ったかしら?」
マモン:「これで思う存分、楽しんでいただけると思いますわ」
怪しさと効能では定評のあるマモン印の秘薬の噂。
アスモデウス様はマモン様が差し出された小さな小瓶を受け取ると、通りすがりの若者をお呼びになり、頭からその液体を……。
マモン:「ノンノン。使用方法が違いますわ。そのお薬は、魔王専用の飲み薬ですの」
アスモデウス:「そうなの……? 嫌だわ。何だか怪しすぎて、ドキドキしちゃう……」
とかなんとか言いながら、何の躊躇もなくお薬を一気に飲み干されるアスモデウス様。
怪しいとわかりきった上でのお約束の流れ、むしろその怪しさを大いに期待していらっしゃるのですねっ!
アスモデウス:「全然……美味じゃないわ」
―――その時だった!!
ズンズンズンズン・ズン!!
アスモデウス:「え? どうしたの? どういうこと? 急に周りが大きくなって……」
アスモデウス様、逆逆!! 貴女が縮んでしまったんです。
マモン:「成功ですね。どうですか? それだけ小さくなれば、いつもの退屈な日常風景も全く違って見えるんじゃないですか?」
その体長およそ17cm。吹けば飛びそうなほどに、小さな魔王様。
アスモデウス:「ほんと、何だかすごく新鮮な気分。そうだっ……」
いつも以上に熱い視線を体全体で感じつつ、何やらよからぬことを閃いたアスモデウス様。早速店員を呼びつけて、ご注文なさったのは甘くて冷たいいちごパフェ。
アスモデウス:「とっても美味しそう……」
興奮気味に事の成り行きを見守る周囲の者達に、軽く投げキッスを飛ばし、アスモデウス様はその美しい肢体をバニラアイスの上へと……。
アスモデウス:「つめた~い。でも涼しくて、気持ちいいかも……」
人の目を気にするどころか、アスモデウス様ってば、あんなポーズやこんなポーズでこちらを刺激して、もうまさにやりたい放題。
だらしなく口元を緩ませ、いつも以上に甘く誘うかのように潤んだ瞳の効力は、倍率ドン更に倍。これでどうして、目を奪われずにいられようか!
アスモデウス:「んもう……。溶けたアイスが、ベタベタするわ……。全部脱いじゃおうかしら?」
ウネウネ、トロトロ、プリンプリン……。
―――ちょ、アスモデウス様!
そんなあられもないお姿で、溶けたアイスの上にまたがり、たわわなバストとムチッとしたヒップを見せつけられたら、皆さんもうたまりません! 確信犯! あんた確実に確信犯NE!
アスモデウス:「チュクチュク……。ジュルル……。モフッモフッ……。んふ、そんなに見つめたら、恥ずかしいわ。ん? 一口欲しいの……?」
まったくもってこの人は、なんてことを言うのでしょう……。
どうせなら、貴女を一口頂きたい! 是が非でも味見したい!!
そんな魔王様の戯れで、周囲の者達の体温ボルテージは一気に上がりきり……。
―――ピーーー!! プ、プシュー……。
アスモデウス:「んふ。みんなが先に溶けちゃった……」
