
ルシファー:「うーん! 気持ちいーわねー!」
海! 砂浜! 斧! スイカ! 燦々と照りつける太陽の下、しなやかな四肢を張って伸びをひとつ。
太陽を灼きつけたように輝く金色の髪。幼さを残しながら、貴婦人の気品と美女の色香を振りまいてやまないワガママなフェイス&ボディ。太陽の光を全て反射してしまいそうな、魅惑のツヤツヤ美肌を惜しげもなくさらした魔王様の中の魔王様は……
もう、ビーチの男たちの視線を釘付けなわけで。
―――それを木陰から見ている影ひとつ。
レヴィアタン:「ルシファーお姉さま、な、なんという傲慢ボディ……(ゴクリ)」
嫉妬の炎……というよりは、羨望&欲望のマナザシで、ロリータフェイスの悪魔っ子……こちらも魔王様のおひとりであらせられるレヴィアたん……ではなくてレヴィアタンが、真っ赤な目をキラキラと輝かせていたり。
レヴィアタン:「レヴィを置いてヒミツで海に行くなんてグギギ……とか思ってたけど。こ、この無防備なルシファーお姉さまはなかなか見られないよね……ハァハァ」
レヴィアたんが言うとおり、いつもツンとすましたルシファー様も、今日はちょっとだけガードが緩いご様子。
七人の魔王様の中でも肌の露出が少ない衣装を好むルシファーが、今日に限っては解放感満点!
魔王様随一の美乳だって、申し訳程度の△で、ほらごらんのとーり!
レヴィアタン:「フヒヒ……じゃなくて。えっと、このビーチにはいないみたいだけど……。みんなの知らないところでルシファーお姉さまんが水着になって、惜しげもなく脱いでたなんて。信者さんたちが知ったらスーパー嫉妬で悶え昇天地獄行き確実だよねー」
「信者さんたちかわいそー」と、心にもないことを口にして、レヴィアたんは、ほくそ笑んでみたり、きょろきょろと周囲を見回してみたり。
実は……ルシファー様がこんだけ解放的なのに、なぜか男たちはレヴィアたんと同じように彼女を遠巻きに見ているだけだったりするわけで。
これがほかの魔王様たちなら、ビーチに出た瞬間に黒山の人だかりになろうものなのだけど……。
レヴィアタン:「あんまり神々しくて、男たちが声をかけることもできないなんて……さすがはルシファーお姉さま……って、なに?」
レヴィアたんの足下で、くいっくいっとニーソックスを引っ張るのは、使い魔の『べひもす』。
レヴィアタン:「なに、べひも……?」
ルシファー:「あら、レヴィったら奇遇じゃない」
いつの間に、こっちまでやってきていたのか、ルシファーがすぐそこに。
レヴィアタン:「あう! ルシファーお姉さま!? 見つかった!? じゃなくて、べ、べつにレヴィ、後をつけてきたりしてないよっ!」
ルシファー:「? なに慌ててるのよ? べーつにストーキングとかどうでも良いわ。そんなことより、そろそろひとりで暇してたのよね。レヴィ、ちょっと遊びに付き合いなさい」
いつもどおりのルシファー様。
いつもどおりの一方的な物言いと、いつもどおりの不遜な笑み。
小さなときからルシファーを見てきたレヴィアたんは知っている。この顔でルシファーが笑うときには、なにかすっごく楽しいことか、すっごく困ったことが起きるのだと。
今回はどっちだろう?
楽しいことだといいなぁ。
わくわくしながら、「それで? どんな遊び?」と目をキラキラさせるレヴィアたん。
その期待に応えるべく傲慢のルシファー様がお口にされたのは、当然のことながら、レヴィアたんのたわわな胸も躍る最高のホビー!
それは……。
ルシファー:「このビーチでどちらが信者をたくさん集められるかを競争しましょう。使って良いのは自分の肢体、つまり魅力だけ。どうかしら?」
そんなお言葉だったわけで……。
魔王様が二人、水着で信者集め勝負!
なんていうステキな提案!
もう、この後ビーチに巻き起こる惨劇を思うだけで、レヴィアたんの表情はだらしなくユルんじゃうのだった。
