
【面倒くさい】とは……
①大変わずらわしいこと。②手間がかかって、まったくやる気がでないこと。③ベルフェゴール様の座右の銘。
ベルフェゴール:「ふぁぁぁぁ~……最終章ラスボスクリア……」
取材クルー:「おおおおおおお!! おめでとうございます!」
その日、彼らのテンションは高かった。
そのご性格故か、インドア派でなかなかお目にかかれない怠惰の魔王様・謎多きベルフェゴール様を前に、魔王公認公式サイト『七つの大罪』取材陣は思わず息を呑んだ。
ベルフェゴール:「あ~~~、また徹夜したし、めんどくさ~~い」
白く滑らかなシルクのような髪。全ての男性が憧れてやまない萌えキュンスタイルの定番サイズの合わない大きめのワイシャツから覗く、健康的な褐色の肌。
背伸びと同時に解き放たれたあくびによって緩んだ口元から愛らしく光る一滴のヨダレ。キュートな尻尾で持った携帯ゲーム画面を見つめる潤んだ瞳。
優しい音色を奏でる首元の鈴と、目のやり場に困りつつもついついガン見してしまうハリのある下乳……失礼、ハリのあるバストと胸元のセクシィな白バラ。
そして、惜しげも無くさらけ出されたくびれた腰元と可愛らしいおへそ。完全に反則技の純白の下着とソックスのダブル使い。
ベルフェゴール様の計算しつくされたいつものスタイル。まさに、眼福!!
取材クルー:「ベルフェゴール様、本日は取材許可ありがとうございます。よろしくお願いいたします」
ベルフェゴール:「ん~? ん~……」
幸運にも絶対に不可能だと思われていたベルフェゴール様の独占密着権を手に入れた取材陣。手配して下さったのは、言わずと知れた強欲の魔王・マモン様である。
―――ええ、1年分の取材費が消えてしまいましたが、その価値はあると思ってますよ。未だベールに包まれたベルフェゴール様の素顔を暴ける……もとい独占スクープできる絶好のチャンスですからね。この機会は逃しませんよ!
そう意気込んだ『七つの大罪』取材陣。今ここに、今世紀最大のミッションが幕を開ける!!
取材クルー:「では、ベルフェゴール様のストレス解消法などお聞かせ頂けますか?」
ベルフェゴール:「ん~? ん~……(以下1時間、『アタタタ!』と無言の繰り返し)」
―――取材陣の質問を熟考しながら、最近発売されたばかりの最新アクションゲームを驚異的なスピードで連打されるベルフェゴール様。
というわけで……『魔王にストレスなど皆無!』というベルフェゴール様の無言の主張に、取材班一同心から感心した。
取材クルー:「……え~、では、あのベルフェゴール様の好みのタイプなど教えて頂けますでしょうか?」
ベルフェゴール:「ん~? ん~……(以下約2時間、『キタコレ!』と無言の繰り返し)」
―――取材陣の質問を熟考しながら、昨日発売されたばかりの最新恋愛シュミュレーションゲームにツッコミを入れつつ微笑されるベルフェゴール様。
というわけで、『どんなタイプでも選り好みはしない』といったベルフェゴール様の奥ゆかしさと優しさに、取材班一同思わず鬼胸キュンとした。
取材クルー:「……え~、では、あの~、そうですね……。もっと簡単な質問で……ベルフェゴール様のお好きな食べ物を教えて頂けますか?」
ベルフェゴール:「ん~? ん~……(以下3時間、『あ?』『ん?』『は?』と無言の繰り返し)」
―――取材陣の質問を熟考しながら、レトロ感あふれる推理クイズゲームで眉をひそめられるベルフェゴール様。ベッド近くの山積みポテチを5袋ほど食される(尻尾使用)
というわけで、『大好物は3度の飯よりポテチ』と全力でお応え下さったベルフェゴール様の行動に、取材班一同大変胸を熱くした。
取材クルー:「……え~、では、最後にですね……。ベルフェゴール様の今後の目標といいますか……抱負などありましたら教えて頂けますか?」
ベルフェゴール:「ん~? ん~……(以下4時間、『貴様はその程度か!』と雄叫びの繰り返し)」
―――取材陣の質問を熟考しながら、大人気のホラーアクションゲームで次々と感染した人間どもを倒されていくベルフェゴール様。
というわけで、『全ての人類を跪かせる』という魔王様らしい完璧な抱負を掲げたベルフェゴール様に、取材班一同思わず感嘆の声を上げて敬服した。
ここにベルフェゴール様の紛れも無き隠された実力が明らかとなった。
取材クルー:「本日はお忙しい中、ありがとうございました!!」
取材開始から10時間。
計4本のゲームクリアを見届けた『七つの大罪』取材班は、ビッグプロジェクトをやり遂げたという大きな満足感と、あの素晴らしい美体を10時間もの間眺め続けたこと許された幸福感を胸に、取材班は帰路へとついた。
ベルフェゴール:「……アレ? 取材ってまだ? みんな、ダメだね~。でも、ま~いっか。めんどくさ~~い」
